新光電気工業の株価がTOB価格を上回って急騰する
新光電気工業のTOBによる上場廃止と配当金、株主優待、株主の今後について(TOB価格5,920円)の続きです。
投資ファンドによるTOB(株式公開買付)が成立した新光電気工業(6967)は、上場廃止を予定しています。この記事では、TOBの概要、株価の動向、そして今後の展開について詳しく解説します。
新光電気工業のTOB概要
今回のTOBは投資ファンドによる買収という形で行われました。
・ TOB価格:5,920円
・ TOB期間:2025年2月18日(火)~3月18日(火)(20営業日)
このTOBは成立し、新光電気工業は今後上場廃止となる予定です。通常、TOBが成立して上場廃止が決定した銘柄の株価は、TOB価格に収束し、横ばいが続くことが多いです。しかし、今回の新光電気工業のケースでは異例の値動きを見せています。
新光電気工業の株価の乱高下
TOB成立後の株価の推移
新光電気工業の株価は、TOB成立後の3月19日から急騰し始めました。その後、4月3日には前日比1,500円ストップ高の9,105円を記録。これはTOB価格の5,920円を大幅に上回る水準です。
一般的に、TOBが成立し上場廃止が決まった企業の株価は、TOB価格に近づくものです。それにも関わらず、新光電気工業の株価は乱高下を続ける異常な動きを見せています。
株価が上昇した理由
このような急激な株価の変動にはいくつかの要因があります。
市場に流通する株式数が極端に少ない
新光電気工業の大量保有報告書(3月26日発表)によると、以下のような株式保有状況が判明しています。
・ 投資ファンドの保有比率:43.86%
・ 親会社・富士通の保有比率:50.00%
・ 合計保有率:93.86%
つまり、発行済み株式の93.86%がすでに市場から吸収されており、実際に市場で売買できる株式はわずか6.14%しか残っていません。
さらに、この6.14%の中には、TOBに応じなかった大株主や、売却する意図のない長期保有株主が含まれています。これらを除くと、市場で自由に売買できる株式数は極めて少ない状況となります。
そのため、少ない売買注文でも株価が大きく動くことになります。実際に、日々の出来高を見ると、株価の急騰・急落にもかかわらず売買のボリュームはそれほど増えていないことがわかります。これは、流通株式数が少ないために、ちょっとした買い注文や売り注文でも株価が乱高下しやすい状態になっていることを示しています。
投機資金の流入
市場全体がトランプ関税の影響で急落した際、新光電気工業が短期資金の避難場所として注目された可能性があります。
通常、市場が不安定な時には、流動性が低く値動きの激しい銘柄に投機的な資金が流れ込むことがあります。今回のケースでも、マネーゲームの対象として短期資金が集中し、一時的に株価が急上昇したと考えられます。
今後の新光電気工業の株価の行方
株価は最終的にTOB価格に収束する可能性が高い
新光電気工業は上場廃止を予定しているため、残存する株主の株式は最終的にすべて強制買取されることになります。この場合、買取価格はTOB価格と同じ1株5,920円になると予想されます。
したがって、現在の9,000円を超える水準の株価は、最終的には5,920円付近まで戻る可能性が高いです。
マネーゲームの終わりはいつか
株価の乱高下が続く間、短期投資家が利益を狙って売買を繰り返すマネーゲームの状態が続くと考えられます。しかし、以下のような要因が影響し、マネーゲームが終わる可能性があります。
・ 流動性のさらなる低下:売買できる株式が減少し、取引が成立しにくくなる
・ 利益確定売りの増加:投機的な買いが収まると、株価の上昇圧力が弱まる
・ 上場廃止が近づく:最終的に株価はTOB価格に収束しやすい
今後の株価の動向に注目が集まりますが、マネーゲームがいつまで続くかは不透明です。
まとめ
今回の新光電気工業のTOBは成功し、上場廃止が予定されています。しかし、株価はTOB成立後も乱高下を続ける異常な動きを見せています。
主な理由は、
・ 市場に流通する株式が極端に少ないため、値動きが激しくなりやすい
・ トランプ関税の影響で短期資金の避難場所となった可能性がある
です。
ただし、最終的にはTOB価格の5,920円付近に落ち着く可能性が高いです。
今後、新光電気工業のマネーゲームがどこまで続くのか、そしてどのタイミングで終わるのか、引き続き注目していく必要があります。