大建工業の配当タダ取りについて
大建工業のTOBによる上場廃止と配当金、株主の今後についての続きです。
大建工業の配当タダ取りの仕組みについて
2023年8月10日、東証プライム上場の伊藤忠商事(8001)は大建工業(7905)に対して、TOB(株式公開買い付け)を行うと発表しました。
TOB価格3,000円、TOB期間は2023年8月14日(月)から10月10日(火)までの40営業日です。手続きが順調に進むと、大建工業は上場廃止になります。
ただ、2024年3月期の中間配当が1株60円もらえるので、他のTOB銘柄とは異なる条件です。
仮に、これから株主になるなら、最短で「9月27日購入→9月28日売却」で配当金の権利がもらえます。
・9月27日(水)購入・・・配当金がもらえる(権利付き最終日)
・9月28日(木)購入・・・配当金がもらえない(権利落ち日)
一般的に、配当金がもらえる銘柄は、権利付き最終日を過ぎると、その金額の分だけ株価が値下がりします。この現象を「配当権利落ち」と言います。
ところが、大建工業はTOB期間中です。株価が下がったら、大建工業の株主になってTOBに申し込めば、伊藤忠商事が3,000円で買い取ってくれます。買値との差額が儲かるわけです。
以上を踏まえて、大建工業の株価を見てみましょう。
大建工業日足チャート
8月15日終値3,030円。TOB発表で株価が上昇し、TOB価格にサヤ寄せしました。株価がTOB価格を上回っています。
過去の事例では、上場廃止予定のTOB銘柄の株価は、TOB価格99.5%程度で推移します。
3,000円×99.5%=2,985円
配当金の1株60円を足すと3,045円なので、配当金が現在の株価に反映されていますが、それでも少し割安です。
大建工業の配当タダ取りの方法について
仮に、3,030円で100株買って、大建工業の株主になったとします。その後、TOBに参加して、伊藤忠商事に3,000円で買い取ってもらいます。
・取引:(売値3,000円-買値3,030円)×100株=-3,000円
・配当金:60円×100株=6,000円
・合計:6,000円-3,000円=3,000円
大建工業の取引では、-3,000円(-30円×100株)が損失になります。
しかし、配当金が6,000円(60円×100株)もらえるので、差し引きして3,000円が今回の儲けです。
実際には、これに売買手数料と税金がかかるため、手取りは少なくなります。売買手数料が安いネット証券を利用して買えるなら、試してみる価値はありそうです。