JSRのTOBによる上場廃止と配当金、株主の今後について(TOB価格4,350円、手続きは野村證券)
JSRが上場廃止になる理由について
2023年6月26日、官民出資の投資ファンドである産業革新投資機構は、東証プライム上場のJSR(4185)に対してTOB(株式公開買い付け)を行うと正式発表しました。
産業革新投資機構がJSRの株を全部買い取って非公開にするため、JSRは上場廃止になります。
TOBの条件について
(1)TOB価格・・・4,350円
(2)TOB期間・・・2023年12月下旬開始予定
(3)決済の開始日・・・未定
(4)買付予定株数・・・上限なし、下限1億3853万1400株
(5)証券会社・・・野村證券
(6)配当・・・無配
TOB価格4,350円。今回のTOBは、国内外の手続きに時間がかかるため、2023年12月下旬開始予定です。また、2024年3月期の配当金が無配になります。
JSRの株主はTOBに参加して1株4,350円で買い取ってもらうか、もしくは株価が4,350円に近づいたら株式市場で売却できます。
JSRの今後の株価について
日付 | 株価 | 前日比 |
---|---|---|
6/23 | 3,234 | - |
6/26 | 3,934 | +700 |
6/27 | 4,350 | +416 |
6月26日終値3,934円。700円ストップ高比例配分になりました。24日にTOB報道があり、翌週26日に買い注文が殺到しました。
26日取引終了後に正式発表を行っています。今後も株価が上昇し、TOB価格に近づく予定です。サヤ寄せです。
株価がTOBに近づいたら、その後は上場廃止まで横ばいが続く見込みです。6月27日にTOB価格付近に到達するでしょう。
(追記)
6月27日終値4,215円。株価がTOB価格にサヤ寄せしました。
株価4,215円÷TOB価格4,350円×100≒96.9%
過去の事例では、上場廃止予定の銘柄の株価は、TOB価格の99%~99.5%で推移することが多いです。
ただし、発表からTOB開始まで時間があると、株価が割安で推移するケースがあります(例:東芝など)。JSRはこちらに当てはまるようです。
TOBに参加するメリットについて
メリットはTOB価格4,350円で買い取ってもらえること、手続きを経験できることです。具体的には、JSRの株を購入した証券会社から野村證券に移管して(移動して)売却します。
2023年12月下旬開始予定ですから、まだまだ時間があります。
JSRの配当金について
JSRは3月決算企業です。2023年3月期の配当金については、中間配当(2023年9月)と期末配当(2024年3月)が無配になります。
前回予想は中間配当が1株35円、期末配当が1株35円の計70円でした。
2023年3月期の期末配当は(2023年3月)は1株35円もらえます。例えば、100株の株主の場合
35円×100株=3,500円
3,500円(税込)となります。
JSRの株主の今後について
JSR月足チャート
月足チャート3年分(2020年6月~2023年6月26日)です。TOB価格の水準に黄色の線を引いています。
黄色の線より下の水準で買った株主は含み益、上の水準で買った株主は含み損の状態です。仮にJSRの上場廃止が決定すると、投資家の損益も確定します。
(1)含み益の投資家・・・TOB参加
(2)資金回収を急ぐ投資家・・・夜間取引または株式市場で売却
(1)TOBの申し込みを行う証券会社が野村證券に決まりました。TOBのスケジュール発表を待ちたいです。
(2)6月26日夜間取引から売却できます。SBI証券や楽天証券、松井証券で株を買った方は試してみてください。その他の方は6月27日の株式市場で売却できます。