日本無線の株主が棚ぼた。が、値幅制限の影響で儲け損なう
※ある制度に別の要因が加わると、その制度に歪み(ひずみ)が起きる話です。
日本無線の上場廃止と株主の今後についての続きです。
日本無線は、日清紡ホールディングスの完全子会社となるため、9月27日に上場廃止になります。
株式交換比率は、日清紡ホールディングス「1」に対して、日本無線「1.28」です。日清紡ホールディングスの株価が上がると、日本無線の株価はその1.28倍に上昇します。
そして、9月13日。日本無線の株主に“棚ぼた”がやってきました。親会社となる日清紡ホールディングスが燃料電池関連銘柄として注目され、株価が急騰したからです。株式交換比率のおかげで、無関係の日本無線も同じように上がります。
日清紡ホールディングス日足チャート
日清紡ホールディングスは13日に終値1,475円まで上昇し、前日比300円ストップ高になりました。翌14日も高値1,548円まで上昇し、関連銘柄として、とても盛り上がりました。
株式交換比率を考えると、日本無線も13日は1,888円に、14日は1,981円になっておかしくありません。
日本無線日足チャート
ところが、ここに値幅制限の壁が立ちはだかります。
日本無線は13日終値1,783円(+300円)で止められてしまいました。
値幅制限の足かせ
日本の株式市場は、株価の異常な変動を防ぐために、1日で動く値幅に制限を設定しています。
値幅制限表
株価 | 値幅 |
---|---|
1円以上100円未満 | 上下30円 |
100円以上200円未満 | 上下50円 |
200円以上500円未満 | 上下80円 |
500円以上700円未満 | 上下100円 |
700円以上1,000円未満 | 上下150円 |
1,000円以上1,500円未満 | 上下300円 |
1,500円以上2,000円未満 | 上下400円 |
2,000円以上3,000円未満 | 上下500円 |
※3,000円以上省略
株価1,000円以上1,500円未満の価格帯は上下300円、株価1,500円以上2,000円未満の株価は上下400円です。
この日はどんなに上がる可能性があっても、300円でストップとなります。
値幅制限の仕組みは、投資家に冷静な行動を促すことができるため、とてもすばらしい制度だと思います。
ところが、今回のケースでは、逆に正常な価格形成を妨げる結果になりました。
日本無線の株主は13日に1,888円で売れるはずが、1,783円で売らされています。差額105円分を儲け損ないました(儲け損なった分は、1,783円で買った投資家の利益となる)。
嬉しさ半分の状況です。