三浦印刷のTOB価格を上回る株価について
三浦印刷の上場廃止と株主の今後についての続きです。
2月27日、東証1部上場の大王製紙は、三浦印刷(7920)に対して、TOB(株式公開買付)を行うと発表しました。
TOB価格は260円、TOB期間は2月28日から4月11日までの30営業日です。手続きが順調に進むと、三浦印刷は上場廃止になります。
一般的に、上場廃止予定のTOBの場合、発表後の株価はTOB価格をやや下回る水準で落ち着きます。
過去の事例では、TOB価格の99.5%がひとつの目安です。三浦印刷に当てはめると
TOB価格260円×99.5%=258.7円
となります。株価は常に変動するので、256~259円くらいが妥当でしょう。
ところが、何か異変が起きると、TOB価格より大幅に高くなったり、大幅に安くなったりします。前者はソレキア、後者は日立工機やカルソニックカンセイなどが該当します。
今回の三浦印刷も、ちょっと変わっています。
三浦印刷の株価について
時系列データ
日付 | 株価 |
---|---|
3/21 | 261 |
3/22 | 261 |
3/23 | 262 |
3/24 | 261 |
3/27 | 262 |
3/28 | 261 |
3/29 | 259 |
3/30 | 259 |
3/31 | 259 |
3月21日から31日までの時系列株価です。ご覧の通り、3月28日まで、株価がTOB価格260円を上回っています。
しかし、29日以降、259円に下がってしまいました。勘の良い方は気付いたと思います。
その理由は「配当金」です。
2017年3月期配当予想
当社は、平成29年3月期の期末配当を1株当たり3円とする旨の配当予想を公表しておりますが、本公開買付けの成立の有無にかかわらず、この配当予想を修正する予定はありません。
三浦印刷の株主になると、1株につき3円の配当金がもらえました。仮に、株主がTOBに参加(申込)すると、1株につき263円(TOB価格260円+配当金3円)がもらえる可能性があります。
このため、三浦印刷の株価は、権利付最終日の3月28日まで260円を超えていました。
最近の上場廃止予定のTOBでは、株主優待が廃止され、配当金も無配になることが多いです。
逆に、これらがなくならないと、ちょっとしたニュースになります。
次回以降、TOBが発表されたら、対象企業の権利確定月もきちんと確認しておきたいですね。