日立工機のTOBと株主の今後について(1)
1月13日取引終了後、東証1部上場の日立工機(6581)に対するTOB (株式公開買い付け)が正式に発表されました。
特別配当金580円を含めたTOB価格は1,450円です。手続きが順調に進むと、日立工機は上場廃止になります。
日立工機の株主は、TOBに参加して保有株を買い取ってもらうか、もしくは、株価が1,450円に近づいたら株式市場で売却することができます。
日立工機の今後の株価について
日立工機日足チャート
直近の日足チャートです。10月5日の買収報道から右肩上がりが続いています。12月28日の続報により、株価が1,500円を超えました。買収総額が出たので、1株あたりに相当する株価となっています。
ところが、上をご覧の通り、正式発表ではTOB価格が1,450円になりました。今後の株価を予想すると、大きく分けて3つになります。
(1)TOB価格1,450円をやや下回る水準で推移
一般的な上場廃止予定のTOBの株価です。正式発表前の株価がTOB価格より安ければ、TOB価格付近まで上昇し、その後横ばいになります。
逆に、正式発表前の株価がTOB価格より高ければ、TOB価格付近まで下落し、その後横ばいになります。目安はTOB価格の99.5%です。
1,450円×99.5%=1,442.75円
となり、1,440円から1,445円で推移するでしょう。
(2)TOB価格を上回る状態で推移
上場廃止予定のTOBが発表されると、投資家がTOBに参加(申込)することなどにより、株式市場に流通する株が極端に少なくなります。
そうすると、少しの買い注文で株価が上昇するので、TOB価格を上回る水準で推移することがあります。直近では、アデランスで同様の現象が起きました。
(3)TOB価格1,450円をかなり下回る水準で推移
今回のTOBは特殊な事例です。TOB価格1,450円のうち、580円分を特別配当金として受け取ります。特別配当金付きのTOBと言えば、直近ではカルソニックカンセイが該当します。
カルソニックカンセイ日足チャート
TOB価格1,860円、特別配当金570円です。カルソニックカンセイの株価は、TOB発表以降、1,738円から1,801円の間で推移しています。TOB価格の93.4%~96.8%です。
この比率を日立工機に当てはめると、1,354円~1,404円となります。某掲示板を含めて、「日立工機の株価が1,400円割れになるんじゃないか?」との予想が多いです。
なお、(1)(2)(3)のいずれの場合も、配当金の権利を得た後は、配当金の分だけ株価が下がる予定です(配当権利落ち)。
TOBに参加するメリット・デメリットについて
メリットは、TOB価格1,450円(特別配当含む)で買い取ってもらえること、TOBの手続きを経験できることです。デメリットは、投資資金の回収が遅くなること、手続きが面倒なことです。
具体的には、日立工機の株を、購入した証券会社からカブドットコム証券に移管して(移動して)売却します。投資資金が戻ってくるのは、3月29日以降になります。
TOBに参加するには、カブドットコム証券の口座が必要です。カブドットコム証券は有名ですから、口座を持っている方は多いと思います。TOBに参加すると、経験値がたっぷり貯まりそうですね。
日立工機の株主の今後について
今回の1,450円という価格は、報道前の株主であれば、ほとんど儲かるオイシイ水準です。リーマンショック以降に株主になっていれば、現時点で含み益になっていると思います。
ただ、配当金には税金がかかるので、手取りにすると、「1,450円×株数」の金額より少なくなります(一部例外あり)。
(例)870円+(580円×0.8)=1,334円
仮に、管理人が株主であれば、今後の経験のために、TOBに参加すると思います。株主の方が、ちょっとうらやましいです。