アーバンコーポレイション(8868)
本日取引開始前の午前8時、アーバンコーポレイション(8868)が7月4日の株価下落の原因とおぼしきIR情報を発表しました。
主要株主不在の事態
主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ
株価が長期にわたり下落していたアーバンですが、7月4日の株価急落によって、様々なウワサが飛び交いました。その根拠は、どうやら1ページ「1、異動が生じた経緯」の部分のようですね。
当社の筆頭株主である当社代表取締役社長房園博行が個人として金融機関9社に当社株式を担保提供していましたが、当該金融機関のうちの6社において担保権が実行され当社株式が売却されました。
どうやら、社長が自分の持ち株を担保にお金を借りていたようです。そして、その担保の株が市場で売却されてしまったと。資金の使い道は2ページ「5、代表取締役房園博行からのお詫びならびに報告」にかかれています。
当社株式を担保提供することになった経緯につきましては、個人としての金融商品への投資ならびに所有を目的とする不動産の取得のほか、一部ベンチャー企業への投資に伴い複数の金融機関より資金の融資を受けていました。
しかしながら、当社株価の下落に伴い担保提供の追加が必要となり担保となる当社株式が増加しました。金融機関による担保権の行使に際し、可能な限り当社株式の売却を避けるための方策を模索しましたが、結果的に個人が保有する当社株式の売却という事態にいたりました。
例えば、5億円のお金を借りる時に、5億円分のアーバン株を担保にしたとしましょう(実際はもっと多くの株が必要かなあ?)。しかし、アーバンの株価が下落して5億円の時価が3億円になってしまった(金額は「たとえ」です)。
お金を貸している金融機関は、資金を回収できない恐れが出てきたから、社長に「もっとアーバン株の担保を増やしてほしい」と迫る。でも、万策が尽きてしまった。
結局、金融機関は資金を回収するために、担保となっている大量のアーバン株を株式市場で売却した。・・・という感じかなあ?
大量売却が起こるまで情報が開示されない?
今回の騒動を見て思うのですが、大株主が保有する株って、どんな状況になっているのか把握できないものですかね?投資ファンドが持っている場合とか、会社と無関係な一般投資家なら仕方がないとしても、取締役等であれば、情報として開示してもいいんじゃないかなと。
別に、金融機関への貸株として利用しているのであればいいのですが、借金の担保になっているのなら、いつ売却されるかわかったものじゃありません。その情報を把握しているのは株主である本人と金融機関だけというのはちょっと不公平かな。
ただ、プライバシーに関することですから、5%ルールのように、「担保になる部分が5%以上になったら開示する(これも「例えば」の話です)」という取り決めがあってもいいと思うんですけどね。
経営陣は株主と同じ立場に立つよう、持ち株を増やすべし?
投資先を決める際に、「経営陣がたくさん自社株を保有している企業が良い」なんて情報がありますが、今回の騒動を見ていると、一概にそれが正しいとは言えないなと感じます。
今回のアーバンとは全く関係ないですが、仮に「自社株を担保にお金を借り、全てギャンブルに使ってしまって返せなくなった」なんてことが起こったら、えらいことです。
そんなことになるくらいなら、株主として「自社株を買うのはやめてください」と言うのではないでしょうか。
金融機関の残り3社の対応
社長と金融機関との契約がどうなっているかわからないのでなんとも言えませんが、担保権が実行されたのは、金融機関9社のうちの6社です。まだ3社残っています。この3社は今後どうするつもりなんでしょう?
今日の午前中にそれらしき大量の売り注文が出ていたような気がしますが、仮にまだであれば、ちょっと不安になります。情報がない暗闇で取引するのはかなり怖いものですね。
※IR情報を引用したため、敬称を略しています。