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富士テクニカ(6476)の事業再生

2010.09.18

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昨日9月17日、一部報道でジャスダック上場の富士テクニカ(6476)が企業再生支援機構から支援を受け、宮津製作所と事業統合を行うと発表されました。

会社側は一度は否定したものの、取引終了後の午後3時10分に正式発表を行いました。

富士テクニカ(6476)9月17日5分足チャート

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17日の富士テクニカの株価は急騰し、50円ストップ高の197円で引けています。来週21日以降の株価が気になるところですが、会社側が詳細なデータを発表しましたので、この内容をにらみながらの展開となるでしょう。

発表後の夜間取引(ジャパンネクストPTS)では、膠着状態がつづいています。

17日夜間取引(ジャパンネクストPTS)気配値

647620100917pts

一応、17日株式市場ではストップ高になっていますが、そもそも明確な根拠(会社側の正式発表)があって値上がりしたわけではありません。新聞報道がきっかけですから、一時的に短期資金が流入したに過ぎないという判断もあるでしょう。

また、出来高の比較的少ないジャスダック上場で、しかも事業再生の案件ですから、プロの投資家がどの程度参加しているのかもよくわかりません。

今後、富士テクニカがどのように再生されるのか、また、宮津製作所との経営統合でどのように変化するのか?については、直接短期投資家には関係がありません(成功する頃にはすでに売買が終了しているから)。

現時点では、確認できる事実と今後の日程を時系列で追っていくのが正しい選択ではないかと思います。

もちろん、これから出てくる「A種、B種の優先株発行」の詳細を理解していたとしても、21日にマネーゲームが始まったら全く意味がありません。

あくまで、富士テクニカのIR情報が役に立つのではないか?という前提での紹介です。

以上をご理解いただいた上で、続きをご覧ください。長文になりますので、ご注意ください。

企業再生支援機構IR

株式会社富士テクニカ等に対する支援決定について

まずは、出資者となる企業再生支援機構のIRから。資金の出し手である企業再生支援機構の情報を見ると、明確に「株主責任」についての指摘があります。最後のページの部分です。

第5 株主責任

1.富士テクニカ

富士テクニカの株主責任については、本事業再生計画において、機構から53億円の出資(※A種優先株式発行・・・後で紹介)を受けて株式を発行すること、及び、対象債権者による31億円相当のDES(※B種優先株式発行・・後で紹介)の実行を計画しており、これらの手続きを経て既存株主の保有株式割合が大幅に希釈化されることにより明確化される見込みである。

過去に日本航空でババを引いた経験からすると、あまり気持ちの良い文言じゃないです。企業再生支援機構から53億円、他の出資者から31億円の計84億円相当の出資によって、富士テクニカの事業再生を目指すと書かれています。

業績予想の下方修正IR

業績予想の修正に関するお知らせ

富士テクニカは、事業再生計画と同時に、業績予想の下方修正を発表しています。

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ポイントは下側の一覧表「平成23年3月期通期連結業績予想数値の修正」です。一応、当期純利益が黒字になっていることから、「PERを計算して割安だ!」となるかもしれませんが、これは買収先の宮津製作所の分が含まれていません。早い話が「当てにならない」というわけです。

富士テクニカの事業再生計画

企業再生支援機構による富士テクニカへの支援決定及び事業譲受のお知らせ

全部読んで理解しようとすると、めちゃくちゃ長くて複雑で、泣きそうになります。細かい内容にこだわるとキリがないので、21日以降の株価に関係がありそうな部分に絞って紹介したいと思います。

1、今後の日程

10月・・・臨時株主総会(予定)

11月上旬・・・企業再生支援機構による買い取り決定及び出資決定(予定)

12月1日・・・株式併合及び単元株式数の変更の効力発生(予定)

12月下旬・・・本DES、本DDS(※A種、B種優先株式発行)及び本資金調達完了(予定)

来月10月に臨時の株主総会が開催されます。そこで、今回の一連の計画が承認されるようです。宮津製作所との経営統合の他、富士テクニカ株式を10株から1株に併合する予定です。それと同時に、1000株で購入するところを100株で購入できるようにします。

先ほどもでましたが、富士テクニカの17日終値は197円ですから、今なら

197円×1000株=19万7000円

となります。

10株を1株に併合すると、仮に株価が変わらないとするならば、197円が1970円に、1000株が100株となりますから、

1970円×100株=19万7000円

となります。

どちらも19万7000円で買えますから、取引面だけを見ると、さほど変わらないようです。

これが12月1日(予定)です。

2、A種優先株式の概要

発行期日:12月下旬

発行価額:7200円

12月下旬に、企業再生支援機構からの出資(第三者割当増資)を行います。私達が日々取引しているのが「普通株」、このA種というのは「優先株」です。「優先」というくらいですから、普通株よりメリットがあります。

そのひとつが、有利な条件で普通株に交換できることです。このA種優先株式は、1株で普通株18株と交換できます。その交換できる普通株の値段は1株400円です。

現在の富士テクニカの株価は197円ですから、400円なら「今の株主の方がトクかも」と思いますが、これは株式併合後の400円です。つまり、現在の株価で考えると、40円に相当します。

普通株に交換できるのは、優先株の発行から1年後です。

3、B種優先株式の概要

発行期日;12月下旬

発行価額:1380円

時を同じくして、B種の優先株式も発行されます。対象は静岡銀行を含む取引先の金融機関です。B種の優先株も普通株を交換できます。こちらは、優先株1株で普通株1株と交換できます。

交換できる普通株の値段は、優先株と同じ1380円です。A種と同じように現在の株価で考えると138円になります。

17日の株価は197円ですから、A種40円、B種138円というのは、かなり有利な条件であることがわかります。

B種が普通株に交換できるのも、発行から1年後となります。

4、株式の希薄化(希釈化)

仮に、A種・B種の両優先株式を全て普通株と交換したならば、A種は1647.31%、B種は282.43%、計1929.75%の普通株が増加することになります。約20倍に膨らむわけです。

例えば、配当金を受け取る人数が、一気に1人から20人に増えると、その分、1人当たりの分け前が20分の1に減少します。これと同じ現象が富士テクニカに起きる可能性があります。

これが株式の希薄化(希釈化)です。

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(※↑それぞれの株主の力が一気に変わる)

先ほど企業再生支援機構のIRで紹介した「株主責任」はこれに該当します。

企業が生き残るためとはいえ、かなり無茶な条件ですので、「臨時株主総会で特別決議による承認が必要」とされています。

なお、本来、希薄する割合(希薄率)が300%を超えると、その第三者割当増資は上場廃止基準に該当するらしいです。

しかし、今回のケースは、大臣認可で設立された企業再生支援機構による支援(国民の税金をつぎ込む)ですから、むしろ株主全体の利益になるから上場廃止にはならないという流れのようです。

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