大泉製作所のディスカウントTOBについて
11月11日、投資ファンドが大泉製作所(6618)に対して、TOB(株式公開買い付け)を行うと発表しました。
インテグラル・オーエス投資事業組合1号及びSpring L.P.による当社株券に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ
TOB価格は370円、TOB期間は11月14日から12月13日までの21営業日です。
大泉製作所は上場廃止を予定してません。しかし、投資ファンドはTOBの参加申し込みがあれば、全ての株式を買い取るとのことです。
大泉製作所日足チャート
こちらの画像は、過去3ヶ月間の日足チャートです。TOB価格370円の水準に線を引いてみました。11月16日終値は446円です。TOB発表以降、株価はTOB価格を下回ることなく推移しています。
今回のポイントは、ディスカウントTOBであることと、上場廃止にならない(上場維持)ことの2つです。
ディスカウントTOBとは?
当ブログでよく紹介しているTOBは、直近の株価よりも高いTOB価格になっている、プレミアムつきのTOBです。
例えば、「株価500円の銘柄をTOB価格700円で買いますよ!」という感じです。この場合のプレミアムは40%になります。
今回の大泉製作所の場合は、直近の株価(468円:11/11)よりも安いTOB価格(370円)ですから、ディスカウントTOBとなります。ディスカウントストアでおなじみの表現です。「ディスカウント=安い」というイメージが理解できると思います。
上場廃止にならないことの意味とは?
上場廃止になるTOBの場合、ディスカウントTOBが発表されると、その安いTOB価格まで株価が急落します。この現象をサヤ寄せと言います。
しかし、大泉製作所の場合は、上場維持ですので、「必ずしもサヤ寄せが起きるとは限らない」という結論になります。なんだか、あいまいな表現です。今のところ、「ディスカウントTOBなど、どこ吹く風」とばかりに株価が安定しています。
今回のような手法は、大口投資家による取引によく用いられます。ディスカウントTOBにしておけば、株価より安いTOB価格で申し込む投資家はいないでしょうから、「安く買いたい大口投資家」と「安くてもいいから売りたい大口投資家」との取引をスムーズにつなぐことができます。
大泉製作所の株価は今後、TOB価格を下回ることはないのか?
物事に絶対はないので、株価がTOB価格370円を下回ることはもちろんあります。しかし、そうなると逆にチャンスです。もし、株価が370円より安くなれば、株式市場で買ってTOBに申し込むと、その差額をゲットできます。例えば、350円で買えたとすると、
(370円-350円)×株数=利益
となり、20円×株数が利益となります(売買手数料除く)。
発表から今日までの株価推移を見ると、TOB期間終了までに株価が急落する可能性はかなり低いと思います。
しかし、トランプショックのような出来事が起きれば、まだまだわかりません。
まとめ
大泉製作所の株主は、ディスカウントTOBの影響ではなく、業績等に気をつけて投資を続ける。それ以外の投資家は、TOB期間終了までチャンス到来を待つ。
こんな感じでどうでしょうか。